
こんにちは、夏目です。
いつも記事を見ていただきありがとうございます。
ヤングケアラーという言葉は広まりましたが、
「自分がそうだった」と気づけない人は少なくありません。
夏目自身も30代になるまで、
自分をヤングケアラーだと
強く認識していませんでした。
今回は論文の定義をもとに、
実体験を照らし合わせながら、
「何がヤングケアラーだったのか」
「なぜ長期化しやすいのか」
「人生にどんな影響を与えるのか」
を整理していきます。
情緒的ネグレクトの
定義の記事はこちらです
※ドイツ語表記の論文を
AIで和訳しています
※家庭背景の匿名性のため、
親を「親1」「親2」と表記しています。
情緒的ネグレクトの定義も書いています
機能不全家庭の定義はこちらです
愛着・アタッチメントの定義はこちらです
ヤングケアラーの定義
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Becker(2000)はより深められた定義を示した——
「Young Carersとは、他の家族にケア・支援・サポートを提供している、
またはその意図を持つ18歳未満の子ども・青少年である。
彼らはしばしば定期的に、相当程度の介護タスクを担い、
通常は成人に結びつけられるレベルの責任を担う。
ケアを受ける人は親であることが多いが、
きょうだい、祖父母、あるいはケア・支援・監督を
必要とする状態に
ある障害・慢性疾患・メンタルヘルス上の問題を
持つその他の親族である場合もある」
※文献1より引用・抜粋
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定義の構成要素
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家庭内の支援(掃除、料理)
と家庭外の支援(買い物、各種手続き)
病気の人への支援:
身体的サポート、感情的サポート、
医療・療法的サポート、
見守り・保護、緊急時対応、通訳
健康な家族やきょうだいのケア、
健康な親の負担軽減
自分自身への支援:
本来なら親が担うような自己管理
(一日のスケジュールを組む、登校するなど)
※文献1より引用・抜粋
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論文と夏目の体験を絡めてみる
ここでは文献2をもとに
夏目の体験と絡めていきます。

未充足のケアニーズ
家庭内のケア力の不足
長期的で多様なケアニーズ
※文献2より
ーーー
夏目の家庭は、
両親共に情緒的ネグレクトを
受けていた可能性が高く、
その中で親1に親2が
負担の肩代わりやケアをしていました。
兄弟が生まれ、
経済状況が悪化すると、
親2がうつ病を発症し、
夏目がケア要因としてYCにならざるを得ない状況でした。
元々両親共にケア需要が高く、
親戚からの支援も受けられず
孤立していたため
夏目がYC構造に押し込められたと考えています。
YCの世代間連鎖については
こちらに書いています
natsume-thinklog.hatenablog.com
多様なケア
ヤングケアラーは
親や家族の代わりに,
調理や清掃などの家事援助,
移動の介助や与薬などの家族の介護,
金銭の管理や支払い,
日本語が第一言語でない家族の
ための通訳などの
[代行的ケア]を担っている
これらの手段的ケアだけでなく,
親の感情の受容や励ましなど
[情緒的ケア]を日常的に担っているものもいる.
※文献2より
ーーー
夏目の場合ですと、
洗濯などの一部の家事、
兄弟の面倒、うつ病の親のケアをしていました。
家事は小学6年生から
仕事の親2に代わり夕食を作っていました。
中学に上がると
部活終わりに洗濯をやらされ
疲弊したのを覚えています。
親の代わりに兄弟の音読などの
宿題の面倒を見ていた記憶があります。
また電気やガスなどの契約、
ネットでの買い物の代行も行っていました。
こうしてみると、
かなり多くのことをやってきたことに気づきます。
20年以上にわたるYC経験をまとめた記事がこちらです。
natsume-thinklog.hatenablog.com
過重な役割と責任
ヤングケアラーは
多様なケアを遂行するために
[費 やされる時間]が多く.
自分のための時間をとることがで きない.
また,子どもが担う域を超えた
[手伝い以上 の仕事]をしており,
[大人と同等の責任]を引き受けることもしばし ばある
※文献2より
ーーー
多様なケアでも書きましたが、
小学生の時の
習い事終わりの夕食の支度
中学の時の
部活終わりの洗濯
など学業や習い事に集中できず、
中学の時には、
「自由な時間が少ない」
と感じていました。
親2に言うと、
『私よりは自由』
と返答が返ってきて、
学校の担任に言っても
特に何もありませんでした。
もう20年近く前の話になります。
やはりヤングケアラーは
見落とされやすいのだと思います。
YCの負担についてはこちらに詳しく書いています。
natsume-thinklog.hatenablog.com
置かれた状況への無自覚
ヤングケアラー自身は
[ヤングケアラーの認識の欠 如]があり,
具体的な支援を求めない.
これは[見えないサイン]のため,
置かれた状況が通常と異なっていることを
他者から指摘されることもなく,
無自覚を助長させている.
※文献2より
ーーー
夏目の場合は、
情緒的ネグレクトもあり、
自他の感情に関心が薄く、
他人事に思っていました。
当然、YCへの自覚もなく
概念に触れる機会がありましたが、
自分がそうだとは思っていませんでした。
1つ指摘したいのが、
支援を求めないのではなく
求める先がありませんでした。
支援を受けようにも
適切な機関はなく、
支援を求めないのではなく、
・異常が日常化している
・支援先を知らない
・ 大人に理解されない
・問題を本人責任化される
といったことで、
結果として諦めになってしまい、
求めなくなった
と言うのが正確な表現です。
30代になりYCを強く自覚しても、
年齢で対象外だったり、
支援と言いつつ具体的なことが
見られにくいといったことがありました。
相談先がほとんどみられない
と言うのが現状だと思います。
このことについては
こちらにまとめています。
natsume-thinklog.hatenablog.com
YCに気づけなかった理由はこちらにまとめています。
natsume-thinklog.hatenablog.com
ゴールの見えないケア
期待にも応え続けなくてはならない
ゴールの見えないケア
※文献2より
ーーー
夏目は小学生頃からYCになり
30代のつい最近までの20年間ずっと続いてきました。
この間に親が変わることもなく、
夏目は小学生の時に言われた
『助けてね』という親2からの
お願いを愚直に20年続けていました。
そしてそれが成長と共に呪縛となり
30代で2度目の適応障害を発症し
余力がなくなり、
その状況下でもケアを続け、
限界が来ました。
この時に親とも関係が破綻し、
YCであることを強く実感しました。
このことから
・自分でケアを終わらせる
・親が変わるのを待つ
・状況変化で親と離れる
以外に解決策はありません。
夏目自身12年間、
他の方法を模索し続けましたが
これ以外に見つかりませんでした。
ーー
実際に親のケアをやめて4ヶ月で
抗うつ薬の量が減りましたし、
あと3ヶ月で治療完了と主治医に言われました。
心身がものすごく軽くなり
前向きに考えることができるようになりました。
それだけ親の負担は重かったのだと思います。
YCが長期化してしまう理由はこちらに書いています。
natsume-thinklog.hatenablog.com
子どもとしての成長発達への影響
人格の形成・社会性 の発達への影響
生活満足度・主観的健康観への影響
健康損失
学びの損失
※文献2より
ーーー
夏目は、人格面・社会性の発達は、
YCより以前に情緒的ネグレクトの影響があります。
生活満足度は低いですが、
過酷な環境に感覚が麻痺していました。
健康は、
適応障害2回発症
ストレス耐性低下
体力的問題
食事制限(半永久)
と2度の発症に加え、
環境面や発達の未成熟が原因の不調に悩まされ
克服に長い時間を要しました。
この表はその健康への悪影響と
克服にかかった年月をまとめたものです。

学びの損失に関しては、
専門学校を中退していますし、
その後も、学術的な学びはできず
ほぼ独学でここまで来ています。
学びの解釈を少し広げ、
交友関係や恋愛まで広げるとなると、
ほぼ全て機会損失しています。
人間性を形作る学びは
ほとんどなく独学で学んできました。
社会的・経済的基 盤形成への影響
ライフコースの選択への影響
社会的孤立もおこりやすい
人生を決める選択肢はほぼなく、
それしか選ばざるを得なかったと言うのが本音です。
可能性は多々ありましたが、
現状や限られた資源を踏まえると
選択の余地はありません。
社会的孤立も年齢を重ねるに
つれ支援を受けにくくなり、
友人も結婚などで人生のステージが変わると
徐々に疎遠になっていきます。
ーーー
つい最近(R8.4)まで完全に孤立し、
貧困が目の前にまできていました。
・親、兄弟からの支援なし
・友人、知人のつながりの希薄化
・支援団体とつながれない
・健康を失い就労が難しい
・傷病手当の給付の終了
こうした要因が重なり、
生活基盤が崩れかけ、
実際に貧困寸前の状態にありました。
長期間のケア負担や、
無理の積み重ねによって
心身の余力を失い、
働くこと自体が
難しくなっていたためです。
それに加えて、
長期的な情緒的ネグレクトの
影響も強く出ていました。
そしてここで感じたのは、
YCの問題は
「家庭内のケア」だけでは終わらない
ということでした。
ケアが長期化すると、
学び・健康・キャリア形成・人間関係が
少しずつ削られ、
問題が連鎖・複雑化しやすくなります。
・健康損失
・就労困難
・収入の不安定化
・制度利用の困難
・支援につながれない
・孤立化
・問題が周囲から見えない
・生活基盤の不安定化
と積み重なった問題が、
選択肢を狭め追い詰めていきます。
その結果、
支援につながれない状態で
健康を失うと、
生活基盤ごと崩れ、
貧困リスクが急激に高まります。
だからこそ、
「孤立したまま長期化すること」
がYCの最大のリスクの1つだと感じています。
詳しくはこちらに書いています
natsume-thinklog.hatenablog.com
終わりに
ヤングケアラーは、
「手伝いをしている子ども」ではなく、
本来担わなくていい負担を、
家庭環境や
家族のケア需要の多さなどにより
やらざるを得ない状況になったものと捉えています。
そして問題なのは、
本人が気づきにくく、
外部からはほぼ見えないことです。
夏目自身、30代になるまで
自分がヤングケアラーだったと
強く認識していませんでした。
もしこの記事で、
「自分もそうだったかもしれない」
と感じた人がいたなら、
それは甘えではなく、
過重な責任を背負ってきた結果かもしれません。
この記事が、
当事者の方々のお役に立てば幸いです。
最後までお読みくださり、
ありがとうございました。

※ヤングケアラーの
他の記事はこちらにもまとめています。
よろしければご覧ください
natsume-thinklog.hatenablog.com
引用文献
文献1
「ヤング・ケアラー」とは誰か?
ドイツ語圏における用語の使用状況の分析と定義の策定※ドイツ語表記
文献2
日本のヤングケアラー:概念分析
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jans/42/0/42_42494/_article/-char/en